第一章 「トッティーのトリッキーな一日」  ミッドガルド大陸・首都プロンテラの冬。 AM8:37 「・・・ぇ〜っとマステラ代が・・で白スリム代がこれで・・・」 例年ならばなんらかの行事で盛り上がり、国民もわいわいとしている時期なのではあるが 「・・・檸檬は・・使いすぎだろアイツ・・」 そんな中、プロンテラ第34地区のある宿屋の一室 「・・・分配分がこれで・・・来週の参加メンバーは・・と」 その部屋は机と武器置き場とベットという質素ではあるがGvでの経費計算を地道にやっている一人の男が居た。 「・・・CT代浮かせるか・・・」 彼の名前は、トッティ ギルド『A domain of God』通称DOGのギルドマスターにしてGvGに参加する大手ギルドの持ち主 GvGとは国を代表するギルドの面々が主力を結して競い合うという国一番の祭りごとである。 勝利ギルドは、各街々に配置されている砦の所有権を得られる。 たった一ヶ月ではあるが砦が国のものではなくギルドの物になり、中を好き放題できるという権利を与えられる。 「最後に押し切られたなぁ・・・人員が問題なのか・・それとも・・」 前回のGvGでは時間ギリギリで押し切られてしまい敗退となり、大量の出費を得てしまった。 「ん〜・・・傭兵でも雇うか、単に人員不足なだけだろうしなぁ・・・っと」 そう言いながら彼は立ち上がり、机の上にあるグローブを手に取り部屋を出て行く。 先に説明してしまえばこの宿は、DOG専用であり宿主はトッティという豪華っぷりである。大概のギルドは宿を借りているというのが普通なのであるが、彼は過去の経歴によりこの国の王に認められたことがありそのときに多額の報奨金を頂いたのである。 「お〜い、誰か居るか〜〜と・・・誰も居ないのか」 食堂に顔を出してみたのだが誰も居ないらしく返事一つ無い。 「皆・・出かけたのかな」 ふとそんなことを思っていたところ バァーン!!! と外で大きな音がした。 「ラグナ!てめぇ殺す気ですか?!」 「それで死ぬなら今頃世界は平和なんだがな」 宿の庭で口論しあってる二人がいる。 「普通ツッコミとか最低素手だろ!素手!! 何で盾投げるんだよ!」 「キーリス、お前用だとこれが普通だろ?」 「確実に落とすこと前提ですか!?」 口論のしている二人は、同じギルドのメンバーで盾を投げたパラディンの名前は[ラグナレク]アイツとは幼少からの知り合いで小さいころよく遊んだ仲である。パラディンの中では珍しくAGI型で重い甲冑を身に纏っていながらも素早い身のこなしが出来てしまうほどである。盾を武器として開拓し盾鎖の上の術をを構築しようと日々奮闘している。 もう一方の顔を引きつっているのはロードナイトの[キーリス]彼は、ラグナレクの相棒で俺とはギルド創設以来の付き合いだ。彼もまたAGI型でとてもすばしっこくとても強い。 彼らは、戦闘となると絶妙なコンビネーションで敵を蹴散らすほどの腕前なのだが 「だいたいだなラグナ、てめぇが勝手にあれこれ決めたせいで余計な面倒ごとが増えてるじゃねぇか、フォローする俺の身にもなれよ」 「いっつも突っ走ってるお前が言うかね!」 たまぁに意見が合わない場合があり口論が始まってしまう習慣があった。 口論と言ってもこいつらの次元の口論なのでそのうち武力衝突になるのは必至だ 近所の付き合いも大事なのでそろそろ止めるべきだろう 「お前ら、またやってんのかいい加減しろよ」 「てめぇが今までにやってきたことの対処したことあるかよ」 「少なくともお前がそれをやったことは無いだろう」 ・・・・無視・・? 二人は、俺を無視してますますヒートアップしていくさすがにこれ以上は不味い 「お前らいい加減にしろよって言ってんだろ!!」 「「うるせぇ!!」」 二人の怒声を受けて「はぃ?!」と逆にキョトンとしてしまったトッティを無視してさらにヒートアップしていく 「っはん!大体てめぇは御節介なんだよ。アイツだって自由にしたい時期なんだろうって」 「甘い!甘すぎだよ!!そういう考えが後々響くんだよ。カインを見てみろよ限界だろ」 「てめぇもときどきひでぇよな・・」 「否!アイツにも恋人がいても普通なんだよ!」 と言いながら右手を上に上げて高々と宣言 ・・・一体ナニを言ってるんだろうか・・ 「・・・あ〜ラグナ何が恋人な」 キーリスは肩をすくめて 「大体てめぇは、この間結婚したばっかりじゃねぇか。幸せ真っ只中のヤツと求めていないヤツの温度差は激しいんだぞ」 ラグナレクは断言するかのように 「このシーズンを逃したら後に待ってるのは絶望だ!」 「そんなもんかねぇ・・」 トッティのことを完全に無視し、ラグナレクはキーリスに人差指を突き出しため息を一息 「お前、そんなんだから行き遅れなんだよ」 「き、貴様ーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!  貴様は今、言ってはならんことを言った!  そこに直れ!」 「悪戯に精を出しすぎなヤツにゃ分相応だろ!昨日の夕飯をパーにされた恨み、ここで晴らしてやる!」 互いに武器を手に取り斬り合いを始める馬鹿二人。 「差別発言だぁぁぁぁ!!!」 「うるせぇ!食い物の恨みを思い知れド馬鹿!」 ロードナイトとパラディンの戦いはとてもシンプルらしく。 かたや素早く連続で大剣を打ち込むキーリス、かたや剣と盾を駆使して舞うラグナレク 見方によっては、壮絶な戦いにも見えるのだがそこはそれ罵倒しながら血走った目で打ち合うそれは単ににケンカとしか言い様が無い 「今日こそ息の根を止めてやる!」 「っは! やれるもんならやってみやがれっ」 二人は、組み合いながらそのまま庭から街道へ出て行っ・・・て 「って待て待て待て!!お前ら!?」 譲れない思いを賭け、二人はそこに何があろうとも関係なしに街道のど真ん中で斬り合いを始めやがった。 ギイイン!!! 振り払う剣はぶつかり合い、火花を散らす。 ダンッ………ガアアンッ!!! 銀光一閃。舞い散る鋼。 すでに舞踏会の如く、魅せる戦いになっているのだが 「オラァ! てめぇ盾なんて使ってんじゃねぇぇ!!」 「お前こそ!さりげなく速度ポーション飲んでるじゃねぇか!」 観るだけなら綺麗なのだが、口を開ければ互いに罵声 しかも ギュンッ! ズガアアンッ!!!! 街道にそびえる木々をなぎ倒・・・しって見てる場合じゃない! こうなったら 「ハン・・」『グラビテーションフィールド』 彼らの交差するフィールド一体が歪み、二人は強制的に地面に押し付けられる。 ダメージよりも動けないという状況を作られてしまい二人は完全に封じられてしまった。 「ぐぁぁぁ」「なにぃ」 もがくのだが全く身動きが取れない二人を前に一人のハイウィザードが降り立った。 「貴様らは、人様に迷惑しかかけることができないのか馬鹿者めが」 ふわり、と降り立ったハイウィザードの女性は、腰に手を当てながら優雅に二人を見下ろした。 ハイウィザードの名前は[ミリシア]彼女とは転生前に知り合いになりギルド立ち上げの際の最初のメンバーとなった人 かげながら俺らを支えてくれる良き仲間である。 「貴様らがまた暴れてると聞いて来てみれば・・・白昼堂々と人様に迷惑なことをしてからに」 最近ふと思うのは、彼女は姉御肌なのではないのだろうかと 男二人を地に伏し見下ろす姿は、ダメな子分二人と女ボスの絵としか言い様が無かった。 「だってよぉアネさんラグナが」 「お前が言い訳ばかりするからだろ」 『グラビテーションフィールド Lv2』 ゴゴゴゴッ!!! 空間ごと二人を地面に圧縮するように威力を上げた。 「「ごめんなさい、ごめんなさい!潰れる潰れるぅぅぅ」」 踏み潰された蛙のような状態になッたのを確認して、ミリシアはぱっと術を解いた。 「全くお前らは、ケンカするなら街の外でやれ、ここでは通行人の邪魔だ邪魔」 どっか行けの如く手をひらひらさせてる 「まぁそこまで言わなくても良いだろミリシア」 「っえ! まっマスター居たんですかっ?!」 振り向きざまに仰天したように目を大きくしてビックリしている・・・というか気が付かれてなかったのか・・ 「やぁまぁ・・止めてくれてありがとな?」 「そっ!そんな、当たり前のことをしただけで・・あのその・・」 うつむきながら声が小さくなっていってしまい何故か耳まで真っ赤になってしまった。 「アネさん・・・最近老けてきてないか(ボソ)」 ピクッ・・ 「同じ歳のはずなんだがなぁ(ボソ)」 ピクピクッ・・ 「「まぁ疲弊してそうだよね」」 ブチッ 何かが切れたように空間が歪み始めた。 「お前ら覚悟はいいな いいよな もういいよな  それじゃぁ死ね」 そう言い放つとミリシアは『ツインユピテルサンダー』と唱え片手に一つずつ電撃を作り出した。 普通では有り得ない光景である。いくらハイウィザードだったとしても呪文を2つ同時に行うことなど不可能と言われているのだ が、しかし彼女は「不可能って言われると燃えるのよね」の一言で不可能を可能にしてしまったのだ。 「っへ!いくらアネさんでも俺らに確実に当てるなんてできるわ」 『グラビテーションフィールド Lv3』 「がぁ?!」「なんで!!」 さらに3つ目の呪文を繰り出した。 すでに有り得ない以上に生物学上有り得てはいけないことをミリシアは行い始めている。 「うるさい、死ね」 彼女の顔は、鬼の形相のように・・・凝視できません ―――カッ!!! ゴバアアアアアアアンッ!!!! ズゴオオオオオンッ!!! 動かない物を狙うことはとても容易く、強化版のユピテルサンダーを零距離射撃でモロに受け吹き飛ぶ二人 「逃げてるつもりかぁぁぁぁ!!」 足りないらしくさらに追い詰めようと吹き飛ぶ二人を全力で追いかけていった。 どう考えても逃げてるようには見えないのだがキレてる彼女に声をかけることができなかった。 ・・・・また取り残された・・・? ジングルベール♪ジングルベール♪すっずがーなる〜♪ 街はクリスマス一色へと染まりあがり、並ぶ露店や広場などが活気付きいつもとは一味違う風景を見せてくれる。 ある人はプレゼント選び、またある人はいつも通りの消耗品の購入、またある人はイベントのための準備 それぞれの人がそれぞれの目的を持ち街全体が輝いているように観えるのだが 「こんな日に限って誰とも会えないなんてな・・」 不幸だというかのようにその場に座り込みため息を吐く 世界から自分だけ外されたような気分、まさに蚊帳の外のような感じなのだろうと考えてしまう。 会う知り合いのほとんどに用事があると言われ取り付く島も無いのでしょうがないから街中をぶらつくことにしたのだが 「・・どうしようかなぁ」 歩けば歩くほど酷く寂しい気分になっていく気がした。 「あら・・トッティさん?」 適当に食材でも買ってかえろうかな・・ 「お〜ぃトッティさ〜ん」 精錬する物無かったよな・・・ 「・・・むぅ〜・・」 と言ってもそこまで持ち合わせが 「聞いてますか!!」 「え・・って白樺さんか・・・どうしたの?」 顔を上げるとそこには、怒り気味プリーストさん彼女はラグナレクの妻[白樺]彼女は、俺のギルドのラグナレクとつい半年前に結婚をしたばかりの新婚ほやほやさんである。 プリーストの中でも『マグヌスエクソシズム』の使い手で見た目以上に驚異的である。戦場の華と呼ばれているらしく 飛び交う魔法や技をすりぬけ支援をしたりマグヌスエクソシズムを撃ったり出来る人 「うー、全然気づいてくれなかった」 「あ、え〜っと・・ごめん、ごめん」 「いーですよいーですよ気にしてませんから」 白樺さんは可愛らしく頬を膨らませているのだが完全にむくれてしまっている。 「申し訳ないです、、、えっとこんなところでどうしたの?」 むすーっとなっている顔が一気に普通の顔になり両手をポンっと叩くと 「そう、そうなんです」 「ナニが・・」 「えっとですね・・・ラグナさん見ませんでしたか?」 「アイツなら・・・多分星になったよ」 「はい?」 数分前の回想を思い出し、これをどう伝えるべきかトッティは深く思案した。 案の定、頭の上に?が浮かんでいる顔をしながら 「はぁ・・・えっと宿の方にも居ないんですか?」 「ん〜どこまで飛んでいったかにもよるんだが・・どうだろうねぇ」 飛んでいった?彼女の頭の上に?が2つほど増えているのが見ていてわかる。 「それはそうとラグナ探してるの?」 「ええ、これから知り合いと狩りに行く話になりまして」 なるほど、前衛が足らないのか 「急ぐの?」 「え〜っと・・あら、今何時ですか?」 「ん、10時16分ですね」 「あ、あ、あ、まずい」とおどおどし始めた・・・まぁ仕方ないか 「えっとラグナの代わりに俺が行こうか?」 「えっいいんですか?お願いします行きましょう」 ぱぁ、と満開の笑顔で勝手に自己解決 「え、あ、ハイ」 通行人に関係なくその場でワープポータルを出し始め「さっさとごーごー」とか言い始めた。 まぁ・・・いいんだけどね プロンテラ南 ギルド募集や狩りPT募集などで賑わいを見せる広場 そんな場所にポタが開く そこはアサシンとプリーストが居た 「とーちゃっくっと、おっまたせー!」 「こんばんわ〜っと」 「あれシロさん、ラグさんは?」 「ん〜見つからなくてラグナさんのギルドのギルマスさん連れて来ましたー」 ふむふむ、と頷くプリーストさんその横に居るアサシンさんが近づいてきて 「・・・・じー・・」 「え、ああ よろしくお願いします」 握手しようと手を出したのだがすぐさまプリーストさんの後ろに隠れてしまった。 「あ〜っと、こらリオン。挨拶して  俺の名前は、レナスです」 「・・・・・リオン、です・・・」 「え〜っとトッティですよろしく」 レナスさんの後ろに隠れながらぺこりとお辞儀をするリオンさん その後ろにいた白樺さんが笑顔サンサンで 「それじゃぁーいっきましょう」 「「おー!」」「・・・ぉー・・」 それぞれの声をあげいざ出陣。 「ところでどこへ行くの?」 ・・・・・・ 場の空気が一気に下がり 「どこ行きましょう?」 ヒュ――― ジュノーフィールド・火山 「いろいろすっ飛ばした気がするけど、まぁいいか」 「?なにを言ってるんですか」 「いえ、独り言なので・・」 入り口前で準備している中、いろいろ間違ってるような気分になってしまった。 「・・・ポタって凄いよねぇ」 「?そうですか?」 軽く冒険者としてやるべきことをしていない気もするが 「・・・よし、いこう」 「それじゃぁいっきましょう」 掛け声と同時にプリさん二人がフル支援 「がっつり稼ぎましょう!」 おー!声と同時にダンジョンに駆け足 火山1Fここには、ブレイザー、エクスプローション、カホ、グリズリー、ラーヴァゴーレム と言ったモンスターが出現する。 この狩場の特徴は、全体的にモンスターが硬いということだ。 普通の武器ではとても太刀打ちできないのでそれ用の武器でなければいけない。 さらに言えば異常なほど沸くのだ 『カートレボリューション!』 カッ―――ズゴオオオオオオンッッッ!!! 何十と集まった敵、しかしその数を一瞬で一掃してしまう。 その一振りは津波の如く高々と敵を吹き飛ばす。 「さすが、転生職威力が段違いですね!」 と言いながら常に支援を切れないように尚且つLAなどを当てる。彼もまた普通のプリースト以上なのは目に見えてわかる。 「・・・れな、こっちも」 ほいほいっと言いながらヒールとグロリアをかけていく。 「・・・ん・・」 ギンギャインッ!!キン、ガンッ!!ギインッ、ガインッ!! リオンのクリジュルが防御を無視しその硬い体を打ち抜く 大量にいるモンスターの攻撃を軽々と避け確実に潰すその姿はまさしく暗殺者であった。 その場に居るモンスターを一掃した後 「・・・先進もう・・」 「これならいけそうだね♪」 「・・はは、シロさん暇そうだしね」 もー!と口を膨らませてぷんすかとしている。 ・・・・ 狩りを始めてから数分、朝のことがあったせいかどうも集中できないでいた 今この場に居る人は、あくまでラグナレクの知り合いであって俺の知り合いではない たまたま、この場に居合わせたに過ぎない だからこそ知り合いに相手をされないという現状が気になって仕方が無い 「トッティさん行きますよー」 「えっ あ、了解」 急かされながらも2Fへ向かう面々 途中出てくる敵も秒殺してしまう。 ここは、量をこなすことが出来るかどうかがポイントな場所である。 2Fそこは1Fとは全くの別世界 ブレイザー、ギグ、デリーター(地)、デリーター(空)、ディアボリック、ナイトメアテラー ここは、全体技が使える人が居ないと直ぐに逝ける場所なのだ 「・・・・魔を滅せよ『マグヌスエクソシズム!!』」 地面に巨大な十字架を描きそこに存在する悪魔やアンデットを一掃する 聖職者のみに許された大魔法である。 「いぇーぃ♪」 ぶいぶいっ、と数十体ディアボリックとナイトメアラーをほぼ一撃で滅する白樺さん。 見た目以上に強烈な人なんだよな・・・ 「・・・後ろ・」 「え、うおっと!」 ―――ギュギュンッ!! 「オラァ!!『カートターミネーション』」 背後からデリーターの攻撃をギリギリで避け反撃 リオンの一言がなければ軽くピンチだったかもしれない 「・・・集中しないと、死ぬよ」 「あ・・ああ」 と言われたものの、どうにも集中しきれない・・・一人で来ているわけでは無いのに このままでは、全員に迷惑をかけてしまう。 ・・だが、どうにも頭から離れない・・ 『ソニックブロー』 ギュンッ! ダカカッ! 飛び上がり、スキルによる連撃 カタールと呼ばれる独特なソレは、剣と違い腕を振ると言う動作そのものが攻撃へと変換される。 襲い掛かる敵を持ち前の身軽さから華麗にかわし確実に急所を穿つ その戦い方はまさに芸術と言えるだろう。 「良い感じだねっリオン『ブレッシング、速度増加、グロリア』」 さらにレナスの歌うような詠唱 そんな中「そりゃー『マグヌスエクソシズム』」と、はしゃぐようにMEを連呼・・アレで連発できるのもさすがと言うのだろうか 「まずいな・・・」 ますます、集中できない。 「よっと、トッティさんダイジョウブですか?」 近づいてきたレナスに問いかけられ「え、あ、う」っとしどろもどろ 「・・・全然集中してない」 「何か悩み事ですか?」 じーっと見つめるリオンと白樺に耐えかねて話すことにした。 「実は・・・・」 狩りをしながら朝からの出来事を相談した。 話すことにより少しばかりモヤモヤは取り除けたのだが 根本的なところは抜けていない気がする、どうも落ち着かない。 3人は、俺から離れぼそぼそと 「はは〜(それでラグさんは・・・だったのか」 「・・・(納得」 「あはは、(なるほどなるほど)」 3人は、ウンウンと確かめ合い白樺さんが近づいてきて 「トッティさん大丈夫ですよ。彼方はとても幸せな方です」 「え?どゆこと??」 ニコニコっと笑顔で言われても訳がわからない 「それじゃーもどりますか」 といきなりレナスがポタを開き俺が喋ることすら出来ずに押し込まれる。 プロンテラ南 「ふーすっずしー」 「・・・あそこ熱いところだからね」 「何だかんだで数時間居たからねもう暗いや」 森の中の一画、ここが彼らの溜まり場らしく皆その場に座り込んで喋りこんいる。 微妙に煮えたぎらない気分ではあるがあれ以上狩りをしたところで決して集中できないだろうなと心の中で思いながら自分も据わることにする。 「さ〜てと、トッティさん」 「ん?」 「急いで宿に戻ってください」 腰掛ける手前でレナスに止められ尚且つ家に帰れと命令された。 「え、清算は?」 「そんなの後です後、ポタ乗って〜」 急かされるように半ば強制的にポタに入れられそうになり じたばたするのだが 「・・いけ・」 ゲシッ! 「うわっ!!」 思いっきり蹴られポタに突入してしまった。 プロンテラ第34地区 宿前 「・・・わざわざ、ここのポタあるなら最初からここに来れば良かったんじゃないの?」 「え?何でですか」 「だってラグナ探してたんじゃなかったの?」 「?」 微妙に会話が成り立ってないような・・ 「シロさんシロさん」 ちょいちょいっとレナスが白樺を手招きで呼び何か説明。 「・・・あー、そうでしたそうでしたね」 「え〜っと数時間前のことだけど・・忘れてたの?」 「え、えっとそう!そうなんですよ〜」 う・・嘘くせぇ というか微妙に今の状態が不思議に感じてきた。 「・・・いいから入る・・」 そう考えていると後ろからリオンに押されてドアの前に立たされた。 「・・まぁいいんだけどねっと、ただいま〜」 いろいろ考えても仕方ないからとりあえず入ることにし パンパンパーン!!! 《ハッピーバースデートッティー!!!》 ドアを開けた途端、クラッカーの嵐 更には、ギルドメンバーの面々が誕生日おめでとうと・・ 「って今日は俺の誕生日だった・・ね」 最近は、GvGなどで多忙だったせいか全く自分のことの事情すら忘れていた。 しかし皆はそれを覚えてくれていたのだ。 「トッティすっかり忘れてるんだもんさ〜  それはともかく誕生日おめでとうな」 ラグナレクが肩を叩いて笑いながらプレゼントを渡してくる。 「俺らからもだ」 宿の中の方から3人のメンバーが出てくる。 「イワンにらえるにカイン・・お前らもありがとうな」 涙腺が緩むような感じがする。 「おいおい、こんなところで泣く余裕なんてないぞ」 イワンもトッティの肩を取り2人に押されながら食堂まで押される。 「トッティさんお誕生日おめでとうございます」 「マスター誕生日おめでとうございます」 キッチンではセフィリスとミリシアが食事の準備をしながら声をかけてくれた。 「二人もありがとうな」 テーブルには豪華な食べ物の数々、二人の得意料理から俺の大好物まで揃えてある。 「マスター、今日はすみませんでした。」 ふとミリシアが近づいてきて頭を下げる。 「え、だってこのために皆は昼間あーだったんだろ?」 「そ・・そうなんですけどでも、寂しい思いさせちゃいましたよね?」 うつむきながら申し訳なさそうに謝罪をするのを見てつい 彼女の頭に手を置き 「そんなことは無いよ。おかげで数倍も嬉しい」 「ありがとうございます」 そう言うと彼女は満面の笑みで返してくれた。 「はーっはっはっは!!」 「何・・・あ、馬鹿か」 窓の外から馬鹿(キーリス)が大声を上げている キーリスがニヤニヤっとしながら 「トッティー!!誕生日おめでっとぅ」 彼(馬鹿)は、踊りながら祝福のエールを贈ってくれる。 とても有り難いけど、早くそこから居なくなってください。近所迷惑なんです。 「これは〜おれからの〜ぷれぜんっつっ!!!」 そう言うと彼は、おもむろに背中に背負っていたバックを地面に置き 中から、大量の枝を・・・ 「レッツ!モンスター!!」 「「「「「「まてぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」」」」」 ポキポキポキポキポキポキ・・・・ 後日、プロンテラ警備隊から厳重注意を受けたのは言うまでも無い。